SOUTH EAST ASIA TOUR 座談会 <フィリピン>

――確かにね。それじゃフィリピンに行こうか。

T:フィリピンは俺たちにとって良い意味でも悪い意味でもポイントだったね。とりあえず空港から「なんだこれー?」って感じだったしね(あまりにしつこい入国チェックに)。で、エマン(フィリピンのオーガナイザー)の家行って、お母さんだと思って挨拶した人にあまり良い反応受けなくて。ま、その人お手伝いさんだったんだけど。笑。とりあえずあんま歓迎って感じでもなくて、「フィリピンの人は怖ぇーなー」みたいな感じだったよね。街もどんよりしてるし。ホント最初の第一印象だけはって話だけど。

O:エマンの家の飯はホントうまかったなー!あとフィリピンのハンバーガーの肉はうまかった!

S:フィリピンはホント肉ばかりだったね。

――ライブは?

O:初日のとこはハンパなく暑かったね!湿度が!で、そんでアンプが家で弾くときに使うような小さいアンプで「これでお願いします」ってさ。笑。あれはびっくりしたな!

――ホントあそこは暑かったね。

O:だって自分でやってるときに、自分の汗が本気で臭いから!笑。

――うざいガキたちもいたよね(※「金がないから」と言い張り、外で酔っぱらっているタチの悪い連中。彼らはフィリピンのほとんどの会場に来ていた。酒を買う金はあるのに「入場料が高すぎてライブが見れない、こんなライブは金もうけだ、お前らはこんなシステムに賛成なのか?」などとオーガナイザーにケチをつけ、会場スタッフである10代の女の子やおばちゃんを脅し、うちらを非難してきたりした。さらには矛盾だらけの政治思想やアナーキズムを押し付けてきたり、Tシャツのトレードをしつこく強要してきたりと、とにかくウザイ連中だった。ちなみに入場料はコーラ1本分ほどの値段で、酒より安い)。

T:「お前らはアナーキストか?」とか聞いてきたヤツらでしょ?オレ言ってなかったかもしれないけど、外でアイツらに囲まれてさ、それでうだうだ押し付けがましいこと言ってきたから、オレが「そんなもんは知らねー」みたいな感じで英語で言い返したりしてたんだ。そしてたら周りのヤツらがさ、オレと喋ってるヤツに武器渡してきたからね。オレフィリピンにまで来てぶっ飛ばされそうになっちゃったよ。笑。

S:オレもすっげえ言われたなー。偉そうなこと言ってるけど、矛盾しまくってんだよね。人の話を聞く気もないし、理解しようとなんて思ってもなかったね。

T:ねー!オレ、ホントそれはムカついた!しかも、もっともらしいこと言っといて、結局それ(武器で威圧)かよ!みたいなね!

S:ひとりだけ、まともなヤツはいたけどね。周りのヤツらはひどかったね。

T:オレね、エマンに相談したんだ。今度アメリカのファンジンのインタビュー受けることになって、東南アジアの質問があったからさ、そのガキとかのこと書いていいかってさ。でもエマンはフィリピンのなかでは、そのガキたちはホント少数派だし、それを書くのか書かないのかはまかせるけど、正直フィリピンは悪いイメージしかなくてバンドも来ないから、そういうことを書いちゃうとまたイメージダウンになっちゃうだけなんじゃないかって。気にしてた。そういうの書くのはかわいそうだなーって。でもなんで書きたいかって言ったら、俺たちにとってはすごいショックなことだったからさ。だからフィリピンって限定しないで、東南アジアのライブでそういうことがあったよって書こうかなと。そういうヤツらが少数派だってことはわかってるんだけどさ。

O:フィリピンって書いてやった方がいいと思うよ。

T:でもやっぱエマンにはすっげえ世話になったしさ、そういうことをファンジンに書いてフィリピンのイメージダウンに繋がってしまうってのもさ。エマンとしては外国からもっとバンドが来て、ライブやって欲しいって思ってるしさ。

O:オレはそれでも書いていった方がいいと思うけどなー。で、フィリピンにはそういうヤツもいるけど、いいヤツの方がたくさんいるし、街もライブもスリリングで刺激的な場所だってさ。

――でも良いことと悪いことを書くことは、すごく意味のあることだと思うけどなー。インタビューとか読んでてさ、例えば外国のバンドが日本来てさ、いいとこばかり書いてればいいのかもしれないけど、日本の悪いとことも指摘されたらさ、「ああ、外人はそう思ってるんだ」って思えるじゃん。気がつかないところがわかるかもしれない。

T:前に見たMAX(625)のインタビューとかそう思ったね。

S:ま、要はフィリピンにはそういうヤツもいたけど、素晴らしい場所だったよってことだよね。

――そうそう!そういうウザイガキもいたけど、エマンとかたくさん良いヤツいたわけじゃん。

S:エマンのためにもなる書き方をすれば問題ないんじゃないかな。オーガナイザーとか、いいヤツらとか、いい客とかすっげえいるんだけど、その一部のヤツらがブチ壊してるのが(フィリピンの素晴らしいシーンを)すげえ残念だってことを書けばいいんじゃないかな。そういうヤツがうざいって思ってるフィリピン人もいるわけじゃん。

T:それはね、フィリピンの人たちは皆思ってる。オレ、ホントその件についてはいろんな人とすっげえと話したけど。

O:オレらが感じたことだから、それは書いた方がいいんだよ。

S:ま、こういうのってフィリピンに限った話じゃないと思うよ。そういうヤツらに向けて、東南アジアって言ってもいいんじゃないかと思う。逆にオレはフィリピンと書くよりはいいんじゃないかなと思う。なんで、俺たちがそういうヤツらをうざいと思うかを、その理由を書いて行けばいいんじゃないかな。やっぱアメリカの時は全然違ったからね、同じD.I.Yといってもさ。

T:フィリピンとか見てて、ホント切なかったよね。あんだけがんばってる人たちがさ、わっけわかんねークソガキに文句言われてね。

O:そういうこともきちんと伝えた方がいいよ。あくまで俺たちが感じたこととして。オレは東南アジアとかじゃなくて、フィリピン限定ってことで書いた方がいいと思うよ。フィリピンにはそういうヤツがいたし、こういうことがあったっていうさ。その方が次にフィリピン行来たいヤツがさ、そういう状況を知ることもできるわけじゃん。

S:まあ俺的にはフィリピンに限定するしないってのは重要じゃなくて、そういうヤツらが東南アジアにいて、そういう考えを押し付けてくるヤツらがうざいと思ったってことを言うことが大切なわけでさ。別にどこの国でもいるし、そういうことを言われてるからね、インドネシアとかでも普通にさ。ただソイツは物腰が柔らかかっただけとかさ、話さなかっただけとかさ、来なかっただけとかさ、そういう問題だから。そういう質問ってのは色んなところですっげえされたし、インタビューでもされたし。

<以下延々とこの話題が続く>

――まあそういうのが、特にフィリピンで目に見えたってことだよね。オレがショックだったのはさ、ライブハウスの前で100人くらいたまってるのに、そいつら会場の中に入らないわけじゃん。VIVISICKになればあいつらタダで入れてもらえるってことをアイツら知ってるわけじゃん?そこはすげえ大切なことだと思う。バスケットコートとかも、目張りが足りなくて外から丸見えでさ、金払わなくても見られるってことで、みんな会場に入ってこなかったわけじゃん。ああいうのを見れたのはフィリピンだったしね。そういう状況ってのはひどいじゃん。だって、SOL(東南アジアツアーをしたドイツのバンド)がフィリピンでやった時は200人くらいのヤツらが、金払わないで突破したんでしょ?

T:ああ、突破したって言ってたね。

――だから、逆にそういうことを言ってやった方がわかると思うね。オーガナイザーたちにとっても不遇なことだし。

S:そうだね。そういうヤツらのせいで、一生懸命やってる企画者は結構な赤字も食ってたりで、ライブを企画するのも大変なわけだしね。その上、そういううざいヤツらに「金もうけだ」みたいな感じで文句言われちゃうわけだしね。ただでさえ、ハードコアやパンクのライブをやる会場を借りるのもかなり大変な状況なのにさ。

――VIVISICKがやる時は、無理に入ろうとしてるヤツらがさ、金持ってないとか言って外でガンガン酒飲んでてさ。酒買う金はあるのにさ、パンクのギグには金を払わないっていうのはさ、ひどい話だよ。すげえショックだったね。

J:そういうことをファンジンに書くことによって、地元のヤツはそいつらに攻撃とかされないの?

――攻撃されないと思う。そんな矛盾だらけなことしてパンクだとかいっても、そいつらは所詮、外の世界に繋がってないしさ。多分、そいつらはそこだけの小さな世界だから。そいつらはそこだけで理想言ってるだけで何もしてないから、外の世界とは繋がってないわけだし。ちゃんとやってるヤツらは、ちゃんとやっているヤツら同士で繋がってるし、外の世界にも開いてると思う。

O:オレは悪いと思ってるから言った方がいいと思うけど。他のバンドでもそのコースを周りたいってヤツらもいるじゃん。あそこはチャカもあるし、アブねえし、でも一番おもしれえぜって書いてやればいいんだよ。あそこが一番刺激的だしさ、派手だしさ、ライブも20バンドとか集めて、バスケットコートとかでやってるわけじゃん!そんなとこなかなかないからね。笑。

T:そういや、マニラのライブ中になんかすげえ銃声聞こえたよね?

O:そういうのもないからさ!笑。だからそういうことも含めて、その外国のファンジンでもリポートした方が面白いって。

S:ま、とりあえずいい面、悪い面、全部ひっくるめてフィリピンはすごかったよ。

T:うん、だから、物凄いポイントだったね、フィリピンは。

S:とにかくライブやるとこもなくて大変な状況なのに、オーガナイザーはホントに情熱的にやってるって印象だったね。

――話は変わるけど、フィリピンの移動は過酷だったね。

T:あれは過酷だったね。(市民が利用するデコトラみたいな小さなバスで荷物全部持っての移動。しかもそのバスは直進しかせず、交差点で曲がる時は違うバスに乗り換えるという仕組みだった)移動費をなるべく経済的な方法ってことでああいう移動手段になったんだろうと思うけどね。それでもライブのギャラなんてもらってる様子はさらさらなかったし、すげえエマンは金をかぶってるからね。それはエマンは言わなかったけど、なんか忘れたけど、それを俺は知ったんだよね。すっげえ金使ってるね。でも最後には本当に俺らのこと呼べて幸せだったって言ってくれたし、金を払っても呼ぶ価値があると思ってくれたからやってくれたことだからすごい情熱だよね。でも俺たちになるとないじゃん、そういうの。何十万払ってもあのバンド呼びたいみたいなのってさ。そういう意味でも俺はエマンに感謝したいけどね。

S:確かにね。

T:だから俺は企画に関わっている人たちのなかではフィリピンが一番すごいと思ったね。よくここまでがんばってさ、罵られてもやってられるなって思ったね。普通だったらやってらんねーって思うじゃん。タイもそうだけど、ハードコアの企画をするのはバンコクでヨス(タイのオーガナイザー)しかいないって言ってたからね。たった一人だって、バンコクでハードコアの企画するのは。

J:へー!あんなにでかい都市なのに。

T:だからそういう意味で言うと、タイ人とかは面倒くさがり屋なのかね。ヨスだけはがんばってやってるけど。

S:ヨスは言ってたね「オレはすげえ嫌われてる」って。

T:言ってた。オレ、それでちょっと可哀想だなって思ったね。で、タイに住んでる日本人のひといたじゃん。あの人も言ってたけど「オレらもVIVISICKと一緒にやりたかったけど、メンバーがヨスとあまり仲が良くないから出れなかった」って。で、クリス(タイのオーガナイザーのもう一人)っていたじゃん、アメリカ人。彼も言ってたけど「ヨスはたったひとりの企画者ですげえがんばってる。誰一人ほかのヤツはやろうとしない」って言ってた。

S:でもヨスは「嫌われようがなんだろうがいいんだ。オレが楽しければいいんだ。これがオレの人生の楽しみなんだ」って言ってたよ。そういうハンパじゃない情熱がないとやってけないだろうね。

T:だよね。でもいきなり話変わるんだけどさ、やっぱね、もうちょっと楽しむ感覚もあるとさ、変わるんだろうね。全体的な印象としてちょっと固いよね。あえて悪い意味で言うと固い。これはフィリピンだけじゃなく東南アジア全体に言える話なんだけどさ。

S:悪い意味でね。それはすごいわかる。固いのは悪いことじゃないんだけどさ。

T:ちょっと頭でっかちなんじゃないかな。もちろん、固いことが悪いことじゃないというのをわかったうえで俺たちもこういうことを言うけどさ。

S:オレは人を尊重するってのは、人間としてすごく大切なことだと思うから。みんな、ひとりひとり違うわけだし。もちろんいいヤツはいっぱいいたし、考えてることが違くても、すごくポリティカルなヤツでも、対等に接してくれるヤツはいっぱいいたしさ。そういうヤツは普通に人間としてOKなんだけどさ、なんかウダウダと言ってくるヤツ、自分の考えを強制してくるヤツってのはさ、そういうとこじゃないんだよーみたいな。結局、それはパンクの本質からズレてんじゃないかなってオレすごく思うんだよね。あまりに理屈っぽくなりすぎてるっていうか。

T:結局、そういうのが行き過ぎるとカテゴライズなりキャッチコピーのひとつだからね。DIYとか言ってもさ。だからホントに本質からズレてんだよね。

S:だからそれを引き戻す作業をするべきだと思うよ。VIVISICKとしては。俺も含めてだけど、大概の人は別に理屈でパンクが好きになったわけじゃないと思うんだよね。後付けじゃん、意味なんて。パンクやってるヤツがかもしだしてる何かに、すげえ引き込まれて、それを掘り下げて行ったら、そういった感情や感覚が込められてたみたいな。でもそれってひとりひとりの感情や感覚を言葉にしただけだからさ。パンクに強烈に人生変えられるくらいにのめり込んだのは、目に見えないその「何か」であって、絶対に理屈じゃないからさ、オレは。もちろん歌詞とか主張とかってすげえ大切なんだけどさ、それはその人たちのものだからさ。それをそのまんま真に受けて言葉だけに縛られるんじゃなくて、自分なりにきちんと消化して、自分なりの考えにしていくべきだとオレは思うから。だからそれを引き戻す作業を、オレたちがオレたちなりのやり方で、日本ですればいいんじゃねーかなって思うね。

T:なるほどねー。

S:オレは政治的なことを歌う人は歌う人ですっげえ正しいと思うし。でもそれはひとりの人間として発してなければおかしいと思うからさ。それは理屈じゃなくて、生きている部分での感覚で発していなければおかしいと思うからさ。パンクだから発さなければならないというのではなくね。別にパンクじゃなくても、政治的なことを発している人はいっぱいいるわけだし。俺たちだって日常で政治的なことを考えてないわけじゃないじゃん。でも俺たちは政治的な部分にこだわってバンド活動してるわけじゃないからさ。でも理屈じゃねーって部分がわかってねーヤツがあまりにも多いからさ。それを提示するのが俺たちの役目なんじゃねーかなって。それはなんか違うんじゃないのってことを引き戻すのが俺たちの役目だし、それが俺たちの本質だし思ったり感じたりしてることなんじゃないかなと俺は思ってるけどね。

O:たまにいいこと言うねー(一同爆笑)

T:すーさんはこういうことを語りだすとホント長いよ(一同爆笑)よくこういう話聞くもんオレ。笑。最後にはうんとしか言えなくなるよ。笑。

S:例えばさ、アキくんとこれすげえ話したけど、今、中国で反日感情とかすごいじゃん。反日感情とかあるけど、俺たちは別に政府になんか言ってさ、お前らそれ違うからちゃんと中国にちゃんとした謝罪をしろよって言って政府に言う事きかせちゃうほどの力があるわけじゃないじゃん。で、結局、俺たち個人に何ができるかってのはさ、俺たち日本人ひとりひとりがさ、中国の人と接する機会があったときにさ、きちんとコミュニケーションをとることなんじゃないかなって思うんだ。俺たちは中国人が好きだし、中国の文化も好きだし、中華料理も好きだし、ウーロン茶も好きだし、三国志も西遊記も好きだし、いっぱい素晴らしいと思ってるところがたくさんあるわけじゃん。中国人の友達だっているしさ。そういうことを伝えてさ、仲良くなって、おれたちみたいな若い世代のひとりひとりがさ、コミュニケーションをとっていくってミゾを埋めてくってことが、大切なんじゃないかな?極論言えば、俺たちにはそれしか出来ないじゃん。結局、中国人だって、上のヤツが煽ってコントロールしてることに騙されてる部分もあると思うしさ。それでも中国が日本のこと言うならさ、だったら中国だってチベットを今現在も不当に抑圧しているのはどういうことなんだって言いたいよ。でもそんなことを言い合っても何も解決しないし。結局、チベットを抑圧している中国政府に何も言えない中国人たちも、まさに日本政府に何も言う力がない俺たちみたいなのもさ、やっぱ日本人は(そして中国人も)そういうヤツばかりじゃないってのを接したときひとりひとりが示していくしかないんじゃないのかなって思う。そういうことをさ、オレとアキくんはダライラマのいた街で話してたわけなんだよ。笑。(スナオとアキはツアー後二人でインド旅行に行った)

T:ダライラマ見たんでしょ!?

――見たよ、すごい嬉しかったよ。

S:だから政府うんぬんってよりは、まずは個人で繋がって行かないと解決なんてしないんじゃないかなってオレは思うんだ。で、解決するためにその問題を話し合えば解決するのか?ってことでもないと思うし。ってことなんじゃないかな。オレが今言ったようなことを固いヤツらにもわかって欲しいなっていう気持ちはあるね。尊重しあって、繋がって行ける部分で、繋がってけばいいんじゃないかなって。やっぱ俺たちもそれができるくらいの力をつけていくしかないんじゃないのかな。何も言わせないくらのライブみせて、そんでこっちがかっこよかったらさ、それは説得力を持つことだと思うからさ。

T:感覚でね。

S:そうそうそう、感覚でさ。理屈を超えたとこで同じもんがあるってことをわかってもらうしかねぇんじゃねえかなと。うぜえヤツはたくさんいるけど、俺たちはこうだよ!ってのをさ。

O:パンクと初期衝動みたいなね。

S:結局、バンドをやっている以上、それを最も表現すべきステージ上で、自分の感情や感覚がまったく表現出来てなかったら伝わらないし、意味もないわけだからね。

――だいたい日本のバンドで日本語で歌っててもさ、ライブじゃ歌詞とか何を歌ってるかも正確にはわからないわけじゃん。だからライブでは、総合的に感じることがすべてなわけだしね。

S:そうそう。やってる本人たちがいかにそこをツメられるかってのが重要でさ。やってるヤツらが感覚伝えて、それが見てるヤツに伝わって、その伝わった本人がソイツのなかで解釈して、自分なりにやって行かなきゃダメじゃん。パンクが提示している理屈とか意味を頭で理解するんじゃなくて、心で感じてさ、それを自分なりに消化して、自分の人間性や自分の生活や自分の活動に還元していくってのが重要でさ。言葉だけ与えられて人の真似じゃ、結局なにもないよ。

O:シーンはあるけど何も変わらないって状況はずっと続いてんのかな?

T:正直オレらはそれはわからないよね。見てないからね。その彼らの変化っていうかさ。

O:もう変わってきてるんじゃない?

T:フィリピンで俺らに絡んできたヤツらも、エマンが言うにはフィリピンではマイノリティだって言ってた。

O:でも十年くらいやってるかもしれないからなー、そのアナーキズムを。

S:そいつら自体の歳は大体10代後半から20代前半って感じだったけどね。

O:それでまた十年つぎって言ったって一緒だろ?ああいうのって。苦笑。もうそういう感じじゃん。そういう精神論じゃん。でもそういう強制がおかしいって思うなら、それは自分たちのやり方を伝えていくべきだよな。

S:でも彼らは経済的な事情で外に出られないっていう厳しい現状や国の情勢もあるからさ、わかんないとこも多いのかもしれない。色んな世界や価値観があるってことがさ。だから俺たちみたいに色んな世界を見ることが出来る状況にあるヤツらが、その見て感じたことを伝えるのは義務だと思う。こういう視点や価値観だってあるんだぜってことをさ。俺たちはせっかくそういうところに行って、いろんなことを知ったわけだからさ、たぶん投げればわかってくれるヤツはいるだろうし、わかんなくても尊重しようとしてくれるヤツはいるだろうし。別に俺はDIYてのはいいと思うし、アメリカ人の時は良かったわけじゃん。アメリカ人は生活に少しは余裕がある連中なのかもしれないけど、やっぱ色んな世界を見ててさ、色んな人間がいるって知っててさ、色んな文化や習慣や価値観があるってことをわかってるから、俺たちのことも受け入れられたけどさ、やっぱ東南アジアはその街からも出れないみたいな状況もあるだろうし、だからそういう固い状況になっちゃってるってのはあるかもしれないね。だからこそ、俺たちはせっかく行ったからさ、行ったあとにそこで感じたことを伝えるってことはすげえ大切なことだと思う。そういうことが出来て初めて今回のツアー自体が完璧なんじゃないかなと思うよ。音は伝えたけど、音だけじゃわからなかったヤツにそれを言葉で説明するってのもアリなんじゃないかなとも思う。

O:そういうところで、俺たちの言ってることに疑問が生まれるんなら、ジョー(マレーシアのオーガナイザー/CARBRETOR DUNGのギター)のインタビューとかも載せていいと思うんだよ。ジョーは生きるパンクスだからさ。そういうヤツが一番感じてるんじゃないかな?逆にインターネットじゃないと出ないじゃん、そういう意見も。マレーシアパンクスが語る〜みたいなさ。あいつが何を考えて、何を感じてきたのかすごく興味があるね。

S:しかも柔軟とは言い難いあの世界のなかで、あそこまで超越した感じなのはホントにすごいよね。

O:やっぱジョーは言うことも違うだろうしさ。通訳を通したらすげえこともっと言ってるとわかると思うよ。やっぱ全然違うわけじゃん、ニュアンスが。英語力がない俺たちが聞いて解釈しているのとはさ。ああいうヤツが語ってくれた方がもっと情勢とか伝わるしね。VIVISICKはなかなか人が行けないとこにツアーを行ってる訳だから、真実は伝えていった方がいいと思うけどなー。

――VIVISICKはわかんねーヤツはわかんねーよってスタンスのバンドじゃないじゃん。いろいろなとこに出て行くバンドだからさ、そういうバンドが見てきたことを伝えるってのはすげえ説得力があると思うんだけどね。すげえ色々やってるわけじゃん。だからそういうことをやっていってもらいたいね、俺としても。

S:まあ、人がどう思うかは置いておいて、でも活動的にはすっげえやったと思うんだよ。だってこの5年間でさ、あれやっとけばよかったーとか、とかってひとつもないでしょ?(一同爆笑)

T:確かにないね。笑。

S:でもさ、これはちょっとさっき言ったことと軽く矛盾するかもしれないけど。例えばライブ見に来てくれる人とかがさ、俺たちはそういう気持ちでやってるんだってことをライブで伝えられないんだとしたらさ、ただのエンターテイメントで捉えられてるだけだとしたらさ、やっぱそれはちょっと悲しくてさ。それならライブで言葉の説明も必要なんじゃないかなっていうのをちょっと考えたりもしてて。ボーカルとしてそういうこともやりたいなって。俺たちは暇つぶしとかエンターテイメントとかでやってるわけじゃないってのをさ、自分たちの気持ちも言っていきたいなって。ただ、今はその説得力を持つほどの力量を自分に感じないから、もっとやらなきゃって感じなんだけどさ。

――話は変わるけど、フィリピンのバンドは良いバンドも多かったよね。

T:フィリピンのバンドかっこいバンド多かったよね。ピドールって覚えてる?彼のバンドとか。で、バンド名聞いたらPLAYって言ってた。

――あー!あれがPLAYなんだ!

T:知ってるの?

――いや、フライヤーとかで一番上に書いてあって、PLAYってのが、その日出演するバンドを意味してるんだと思ってたら、バンド名だったんだね。笑。

T:ああ、俺もそれ間違えてた。笑。かっこよかったよねー?

――音が軽くてよかったね。軽いっていうか、今のユースクールっぽくない感じで。

T:俺らがイメージするありがちなユースクールルーっぽい感じはなかったよね。ガムシャラで速いみたいなのが良かった。

J:STRUCKそうだったじゃん。ユースクールが好きだったけど、そういう速いバンドだった。フィリピンとかのバンドの情報ももっと入ってくればいいんだけどね。マキシマムロックンロールとかでさ取り上げられたりしないのかな?

S:フィリピンのバンドかっこよかったけど、ちょっと残念に思ったところは、フィリピンの人は英語が堪能だけど、現地の言葉で歌えばさらにオリジナリティが出てかっこいいんじゃないかなってのが、俺はあったな。個人的な趣味だけどね。

T:あーそれはわかるな。ホント個人的な趣味だけどね。タガログ語でやればね。

S:タガログ語でやったら多分もっとヤバいよ!

――フィリピン、デッケネみたいなバンドがいるんだよ、80年代に。

T:すっげえかっこよかった!フィリピンのデッケネがいるんだよね、80年代に。デッケネよりかっこいいよね?

S:いや、デッケネの方がかっこいいよ。笑。

T:すいません。笑。

続く...