BRAZIL TOUR REPORT
2004年春、VIVISICKはブラジルのHCバンドMUKEKA DI RATOの招待によりブラジルにて10日間のツアーを行った。今回はアメリカからHELLNATIONも呼んで計3バンドでの大所帯。サッカーとサンバしか思いつかない地球の裏側のハードコアシーンは何もかもが新鮮であまりにも熱すぎた!メンバーはVoスナオ、Guオノ、Baタカハシ、Drキムラ、通訳兼撮影スタッフ・ゲルサト氏の計5人。


4月29日(木) サンパウロ
日本から約30時間、現地時間の朝9時にサンパウロ国際空港到着。疲労困ぱいのうちらを笑顔で迎えてくれたのが、HELLNATION一同とサンパウロでお世話になるINKOGNITTAのベース・シャミール。彼の家に着くと家族や多くの友達に熱烈な歓迎を受けて感激する。その後、街に繰りだし、OLHO SECOのボーカル・ファビオが経営するショップに行ったり、RDPのボーカル・ゴルドが務めるラジオショーのインタビューを受けたりと憧れの人達に会う。夜はINKOGNITTAの連中がパ−ティーを開いてくれて、ブラジル名物シュラスコを立てなくなるまで食わされた。なお、キムラは1日目からブラジル人をも凌ぐ大食いっぷりを発揮し、行く先々で周囲を驚かせていた。

4/30(金) サンパウロ
ツアー初日。今日のライブ会場HANGAR110へ。まずは3年間メールをしてきたモジンがべ−スを弾くMUKEKA DI RATO(以下MDR)と感動の対面。さらにINFECT(残念ながら解散)のボーカル・インダヤラ、SICK TERROR&ULSTERのベース・ファビオをはじめ、日本からバンドが来たということで様々な人が話しかけてくれた。ライブ前にバール(街中の至るところにあるビールや軽食が頼める庶民的なバー)に繰り出すと次第に地元のパンクスが集まり、ライブ前から打ち上げ並に大騒ぎ。オノはどうみても小学生の酔っぱらいに絡まれていた。こっちに来て驚いたことの一つは子供の酔っ払いに幾度も遭遇したことだ。いい感じで会場に戻ると最初のバンドRDKがすでに始まっており、客がもの凄い数に膨れあがっていた。後で聞いたら550人程入ったらしい。RDKはDビートにデス声一歩手前の迫力ボーカルが載るいわゆるブラジルHCスタイル。個人的にはかっこよかったが客は一歩も動かず。なぜかと思っていたが、その理由は次のINKOGNITTAを客は待っていたようで、彼等が始まると一斉にフロントの客が暴れ出した。その暴れ方がすごい。彼らのグラインドテイスト溢れる暴力的な音に合わせ、一人一人の動きが日本の2倍は早かった。彼等の熱いステージに客が暖まったところでついにうちらのブラジルツアー初ライブ。必要以上の歓声を浴びて登場しライブを始めると、日本では得たことがない凄まじい反応に仰天する。ステージは異常に高いのだが、よじ登ってきては死ぬんじゃないかという飛距離でダイブを連発。約20分のステージを終えると客から「Filho da puta(=Motherfucker)」コールが巻き起こる盛況ぶりであった。次はアメリカから登場のHELLNATION。彼等はブラジルツアーが2回目ということもあり客も彼等を待ちわびていた様子。曲が始まるや否や怒濤のモッシュ。こっちの客は速いのが好きなんだなとしみじみ実感。いつもの彼等のスタイルを曲げることなく曲間なしのブッ通し演奏で約30分のセットを終了。そしてついに今までずっと見たかったMDRのライブ。客の反応は凄まじく、明らかに会場が異常な熱気に包まれる。これだけいる客数の半分以上が大盛り上がり。ブラジルで人気があるとは聞いていたがここまでとは…。あっけに取られてるうちにライブは終了。客との一体感に感動のステージだった。ライブ終了後、20人乗り位の大きなバンに乗り次の街・ベロオリゾンテに向かう。バンの中ではMDRの連中が大騒ぎ。意味不明なトランスを爆音でかけながらついには車内の電気を手動でチカチカ点滅。あまりのバカさに今後このテンションについていけるのか不安になる日本チーム。

5/1(土) ベロオリゾンテ
次の場所まで8時間とのことだったが結局15時間もかけて昼2時に到着。これからは言われた時間の2倍は覚悟しようと確認しあう日本チーム。安ホテルでの休憩タイムを経て(今後もたまにこのような機会を作ってくれたので非常に助かった)バンでライブ会場へ。事前の情報では地元のストレートエッジとドランクパンクスが銃の打ち合いをする程仲が悪いと聞いていたのでさすがに緊張していたが、やはり周りの雰囲気が明らかに昨日とは違う。はっきり言って溜まってる連中のガラが悪い。バンから降りると、カシャッサ(ブラジルのウイスキーみたいな酒。激強)の瓶をもったハイテンションなお子様ドランカー軍団に囲まれる(生活感がにじむボロに、黒マジックで「Aマ−ク」や「H×C」などと書かれた自作Tシャツを着ている)。その中の黒人の彼はチリチリの髪を無理矢理立たせてかなりの高さのモヒカンを演出。会場内で再び彼に会ったときは、大量の汗を含んだそのモヒカンが巨大なリーゼントへと変化していた。ライブ会場に入ると1番目のDOPSが終了する寸前だった。続くPROLEは、いわゆるエモ系のHCバンドなのだが、途中スタッフらしき数名がステージに昇ってきて和太鼓らしきものを叩き出した時はその迫力にやられた。そしてうちらの登場。酔っぱらい度が昨日よりかなり高い観客に後押しされてツアー中最高の盛り上がりとなった。なぜか音が鳴る前から客が暴れているのが多少気になったが、ここでもモッシュ&ダイブの嵐。さすがに2日連続でここまで盛り上がるとロックスターにでもなった気分。大歓声をバックに御機嫌でステージを降りたが、HELLNAITONが終わりMDRが始まると彼等こそロックスターだと再確認。あんなに客席の後ろの方まで客が暴れてるのを初めて見た。その尋常じゃない熱気と狂乱ぶりには感動の一言であった。結局今日も500人程の入りっだった。ライブ終了後MDRのギターとベースが盗まれたとのことで騒ぎになるが共演バンドが間違えて持ち帰ったとのことで一段落。その後はSEPULTURAがよく通っていたというバールで腹ごしらえ&彼等のサイン入りポスターの前で記念撮影(彼等はこの街出身)。ツアー中よく現地の人から彼等の話が出てきたがみんな一様に最高だと言っていた。ブラジルが生んだまさにヒーロー的存在なのだろう。

5/2(日) ヴィラヴェーリャ
MDRの地元・ヴィラヴェーリャに到着。エメラルドグリーンの海が広がるのどかな美しい街。モジンの家とツアースタッフ・ホジャーリオ(MERDAのベース)の家の2手に別れてライブ直前まで睡眠…のはずがモジン班のタカハシ&キムラ&ゲルサト氏は寝過ごして、会場に着いた時は3バンド目のデスメタルバンドが始まっていた。今日はビーチの目の前にある屋外型のお店でのライブ。今日は飲むぞと意気込んでると次のバンドのメンバーがまだ来ないとの理由で急遽うちらの出番に。さすがビーチ沿いの開放的な雰囲気だけあって、450人入ったという客は今までで一番の酔っぱらい度数。かなり無茶な暴れ方をするのだがケンカが一切起こらないのに感心。もちろんここでも前列にはお子様ドランカーが陣取り、隙あらばピックを盗もうと暴れながらも狙っていた(現に手から何枚もむしり取られた)。途中マイクのトラブルなどもあったがなんとか終了。小太りロンゲの白人に「お前のバンドは俺のケツを蹴り上げた」と真顔で言われ、褒めてるのか怒ってるのかわからず反応に困った。その後ツアー前から見るのを楽しみにしていたCHUCK NORRISが登場。期待以上のハイテンションなファストコアで会場を沸せた後はHELLNATIONの大盛り上がり、MDRのバカ盛り上がりでライブ終了。そのまま楽しく飲んでいると、そこはいつの間にかサンバクラブに早変わり。極度の泥酔にまかせサンバを踊りまくる。

5/3(月)〜4(火) OFF
ヴィラヴェーリャで買い物したりビーチで飲んだりサッカ−したりとゆっくりした時間を過ごす。ここでMDRのドラム・ブレックが仕事の為この後のツアーに参加できないということで、サンパウロから今後のムードメーカーとなるDISCARGAのニノがヘルプとして合流。タカハシ嘔吐と腹痛でダウン。

5/5(水) リオデジャネイロ
これまた超ロングドライブでリオに入ると、左手の山頂にはあの有名なキリスト像、ファベイラと呼ばれるスラム街が山に斜面に沿うように並んでいる。盛り上がる日本チームに不安を覚えたのか、ここでモジンからツアー中初めての警告が。決して外でカメラを回すな、決してライブ会場の外に出るなと釘を刺される。確かに殺人事件数が世界でもトップランクのリオ。それまで浮かれすぎてすっかり忘れていた「治安」という点を肝に命じて帯を締め直す。シンナーの匂いが立ちこめるバイクや車の修理屋街にあるライブ会場に到着。着いてすぐ早速インタビューを申し込まれ、モジンとHELLNATIONのダグと一緒にライブ会場から離れたバールへ。向かう途中パンツ一丁の子供軍団に「Filho da puta!」と罵られた時は映画「シティオブゴッド(必見!!)」を思い出してかなり震えた。大掛かりなカメラにディレクターらしき人物がしきりにインタビュアーに指示を与える中「戦争と平和と音楽の関係性について」などの一瞬で答えられるはずもない質問を数多く浴びせられる。会場に戻ると次がうちらだと言われまたも対バンを見逃す。みんなが口々にいいバンドだと答えていたCONFRONTを見のがしたのが特に悔やまれる。ライブがスタートすると客の反応はあまりなし。事前情報としてリオはメタルが強いということは聞いていたが、平日ということもあり客の入りも前回までと比べると今一つ(150人もいたが)。今までが良すぎたのだと日本での身分を忘れて生意気になっている自分を反省。こんな状況でもHELLNATIONとMDRの時の客はクレイジーに。さすがの貫禄を見せつけられた。ちなみにこの日は治安の悪さに比例して、今までにない程の執拗な「CDくれ!」攻撃に見舞われる。その中の1人、DISRUPTのTシャツを着た虚ろな目をした少年の財布には、コイン2枚(安いホットドックが1つ食べれる程度の金)が入っているだけだった。バスで2時間かけて会場に来たという彼に、どうやって帰るのか聞くと「コミュニケ−ションだ(他人と仲良くなって金をもらう)」と答えた。余談だがリオだけではなく、入場料を払うのが精いっぱいらしくCDやタバコをねだる客は多かった。だが、なけなしの金を払ってライブに来ているためか、多くの客は一つ一つのバンドをすごく熱心に見て楽しんでいるという印象を受けた。

5/6(木) サンパウロABC
またも車は10時間近くかけて戻るような形でサンパウロの南に位置するABC地区へと到着。ライブ会場の前には今日出演バンドの旗が掲げられており一同大喜びで記念撮影。とその上の2階にサンパウロで流行っているという焼そば屋を発見。決して興味はなかったが腹が減っていたのでみんなで1コ購入。なぜかあんかけ焼そばだった。1つ目のバンドが始まる頃になっても全く人が来ない(最終的には100人程入ったが)。うちらはいつも日本でやっているような雰囲気に若干安心してやる気満々でスタンバイしていると、オノが立てないほどの強烈な腹痛を訴える。危うくキャンセル寸前までいったが、ゲルサト氏持参の性病も治るという超強力抗生物質により難を逃れる。ライブ終了後、有名な売春通りにあるピザ屋で夜食タイム。移動途中にムードメーカー・ニノがしきりに売春婦に声を掛けていたが全員に無視されていた。



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