【総括】
アメリカという国に行ってまず気になったのは、オレたちに対する公衆の目。これ は日本の公衆と似ていると思った。廻った場所が白人ばかりの田舎中心だったという こともあるだろうが、その視線には多人種に対する嫌悪感めいたものがこめられてい たような気がした。今までアジアやヨーロッパなどに行ったが、そこでは感じたこと のない種の視線であった。だが逆に、このツアーで会ったハードコアの人たちは、ホ ントにすごくイイ人ばかりであった。差別めいたところなどまるでないし、こちらを 尊重してくれる。これは当然のことのように感じるけど、この人たちが人種差別あた りまえのアメリカっていう国のなかで育ってきたことを考えると、結構すごい価値観 の持ち主なんじゃないかと思ったりした。

次にアメリカのHCは生活〜社会〜音楽を一本貫いているという印象を受けた。簡潔 にいうと単なるリスナーではなく、ハードコアパンクの信念が生活に根付いている感 じがした。それがいい悪いということを言いたいのではなく、例えば10年後また同じ 場所へ行ったら同じ人がいるような気がした。
あと思ったことはライブの面白さというのは必ずしも客の数で左右されるものではな いなと。たとえ客が少なくてもそこにいる人たちの熱と、バンドの熱がシンクロすれ ばそこに素晴らしい空間が生まれる。大切なのは人の量ではなく、熱の量だってこと を再認識した。もちろんたくさん人がいるライブも楽しいが、人が少ないからといっ てつまらないということは絶対にない。第一にバンドしだい、次にそれを受け取る客 しだいでいくらでも面白い空間は生まれると思った。

最後に。実を言うと…我々はアメリカツアーに大きな期待を抱いていなかった。その 理由としてまず第一にアメリカでのVIVISICKの知名度が低すぎるため、各地の企画者 があまり興味を示してくれず、ブッキングが(一部の地域を除き)行く間際まで困難を 極めていたからだ。なのでライブはノーリアクションのオンパレードで、かなりの苦 渋を味わうだろうと覚悟していた。だが、結果としてはケンと各企画者たちの尽力に より、非常に中身の濃い企画に出演することができた。感謝。

第二に春に行ったブラジルツアーがあまりに素晴らしすぎたため「あれ以上にすごい 体験はそうそうないだろう」と思っていたから。だが、しかし、世界は広かった。ア メリカのライブのやり方、会場、音、人、ノリなど、様々なことが新鮮で刺激的であっ た。それは日本やブラジルと比べてどうこうという問題ではなく、まるで別物であっ た。それぞれの国(や地域)が持つ素晴らしさに、好みはあれど優劣はつけられない。 それぞれに違う種の素晴らしさが存在する。世界は広い。アメリカも広い、ブラジル も広い、そして住んでいる日本ですらも広すぎる。我々は日本を中心に、まだ世界の 面白さをホンの少し垣間見たに過ぎない。しかもその面白さというのは同じ場所でも、 時代とともに変化し続ける。そう考えると面白さってものにはきりがない。そして未 熟な我々にとって、いまだ先は長く深い。これからどれだけの未知で素晴らしく刺激 的な空間に出会えるのか!?そしてまたどれだけの人たちとライブを通じて繋ることが できるのか!?その可能性は果てしない。



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